起风了 | 風立ちぬ-6 NJ:教学部@安娜
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发布于:2019-06-02 22:04

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初声日语教学部&初声日语电台联合制作——全书朗读《起风了(風立ちぬ)》

風立ちぬ-6

朗读:初声教学部 安娜

作者:堀辰雄

音审校对:教学部茉莉&电台Seki

后期制作:小樱


とうとう真夏になった。それは平地でよりも、もっと猛烈な位であった。裏の雑木林では、何かが燃え出しでもしたかのように、蝉がひねもす啼(な)き止(や)まなかった。樹脂のにおいさえ、開け放した窓から漂って来た。夕方になると、戸外で少しでも楽な呼吸をするために、バルコンまでベッドを引き出させる患者達が多かった。それらの患者達を見て、私達ははじめて、この頃俄(にわ)かにサナトリウムの患者達の増え出したことを知った。しかし、私達は相かわらず誰にも構わずに二人だけの生活を続けていた。

 この頃、節子は暑さのためにすっかり食慾を失い、夜などもよく寝られないことが多いらしかった。私は、彼女の昼寝を守るために、前よりも一層、廊下の足音や、窓から飛びこんでくる蜂や虻(あぶ)などに気を配り出した。そして暑さのために思わず大きくなる私自身の呼吸にも気をもんだりした。

 そのように病人の枕元で、息をつめながら、彼女の眠っているのを見守っているのは、私にとっても一つの眠りに近いものだった。私は彼女が眠りながら呼吸を速くしたり弛(ゆる)くしたりする変化を苦しいほどはっきりと感じるのだった。


私は彼女と心臓の鼓動をさえ共にした。ときどき軽い呼吸困難が彼女を襲うらしかった。そんな時、手をすこし痙攣(けいれん)させながら咽(のど)のところまで持って行ってそれを抑えるような手つきをする、夢に魘(おそ)われてでもいるのではないかと思って、私が起してやったものかどうかと躊躇っているうち、そんな苦しげな状態はやがて過ぎ、あとに弛緩状態(しかんじょうたい)がやって来る。そうすると、私も思わずほっとしながら、いま彼女の息づいている静かな呼吸に自分までが一種の快感さえ覚える。そうして彼女が目を醒(さ)ますと、私はそっと彼女の髪に接吻をしてやる。彼女はまだ倦(だ)るそうな目つきで、私を見るのだった「あなた、そこにいたの?」

「ああ、僕もここで少しうつらうつらしていたんだ」

 そんな晩など、自分もいつまでも寝つかれずにいるようなことがあると、私はそれが癖にでもなったように、自分でも知らずに、手を咽に近づけながらそれを抑えるような手つきを真似たりしている。そしてそれに気がついたあとで、それからやっと私は本当の呼吸困難を感じたりする。が、それは私にはむしろ快いものでさえあった。(因中文译文版已有出版作品,故本节目不备注中文翻译)