起风了 | 風立ちぬ-19 NJ:初声日语@派派
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发布于:2019-07-14 04:18

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初声日语教学部&初声日语电台联合制作——全书朗读《起风了(風立ちぬ)》

風立ちぬ-19

朗读:初声电台 派派

作者:堀辰雄

音审校对:教学部茉莉&电台Seki

后期制作:小樱

 けれども私はそんな言葉にはまだ満足しないような様子を見せていた。

彼女はそういう私の沈んだ様子をしばらくは唯もじもじしながら見守っていたが、とうとう怺え切れなくなったとでも言うように言い出した。
「私が此処でもって、こんなに満足しているのが、あなたにはおわかりにならないの? 

どんなに体の悪いときでも、私は一度だって家へ帰りたいなんぞと思ったことはないわ。若(も)しあなたが私の側に居て下さらなかったら、私は本当にどうなっていたでしょう? ……さっきだって、あなたがお留守の間、最初のうちはそれでもあなたのお帰りが遅ければ遅いほど、お帰りになったときの悦(よろこ)びが余計になるばかりだと思って、痩我慢(やせがまん)していたんだけれど、――あなたがもうお帰りになると私の思い込んでいた時間をずうっと過ぎてもお帰りにならないので、しまいにはとても不安になって来たの。そうしたら、いつもあなたと一緒にいるこの部屋までがなんだか見知らない部屋のような気がしてきて、こわくなって部屋の中から飛び出したくなった位だったわ。……でも、それから漸(や)っとあなたのいつか仰(おっ)しゃったお言葉を考え出したら、すこうし気が落着いて来たの。あなたはいつか私にこう仰しゃったでしょう、――私達のいまの生活、ずっとあとになって思い出したらどんなに美しいだろうって……」
 彼女はだんだん嗄(しゃが)れたような声になりながらそれを言(い)い畢(お)えると、一種の微笑ともつかないようなもので口元を歪めながら、私をじっと見つめた。
 彼女のそんな言葉を聞いているうちに、たまらぬほど胸が一ぱいになり出した私は、しかし、そういう自分の感動した様子を彼女に見られることを恐れでもするように、そっとバルコンに出て行った。そしてその上から、嘗(かつ)て私達の幸福をそこに完全に描き出したかとも思えたあの初夏の夕方のそれに似た――しかしそれとは全然異った秋の午前の光、もっと冷たい、もっと深味のある光を帯びた、あたり一帯の風景を私はしみじみと見入りだしていた。

あのときの幸福に似た、しかしもっともっと胸のしめつけられるような見知らない感動で自分が一ぱいになっているのを感じながら……

(因中文译文版已有出版作品,故本节目不备注中文翻译)