起风了 | 死のかげの谷-6 NJ:初声日语教学部@柠檬
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发布于:2019-08-27 22:01

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初声日语教学部&初声日语电台联合制作——全书朗读《起风了(風立ちぬ)》

朗读:初声教学部 柠檬

作者:堀辰雄

音审校对:教学部茉莉&电台Seki

后期制作:小樱


十二月十四日

 きのう夕方、神父と約束をしたので、私は教会へ訪ねて行った。あす教会を閉(とざ)して、すぐ松本へ立つとか云う事で、神父は私と話をしながらも、ときどき荷拵えをしている小使のところへ何か云いつけに立って行ったりした。そうしてこの村で一人の信者を得ようとしているのに、いま此処を立ち去るのはいかにも残念だと繰り返し言っていた。私はすぐにきのう教会で見かけた、やはり独逸人らしい中年の婦人を思い浮べた。そうしてその婦人のことを神父に訊こうとしかけながら、その時ひょっくりこれはまた神父が何か思い違えて、私自身のことを言っているのではあるまいかと云う気もされ出した。……

 そう妙にちぐはぐになった私達の会話は、それからはますます途絶えがちだった。そうして私達はいつか黙り合ったまま、熱過ぎるくらいの煖炉の傍で、窓硝子(まどガラス)ごしに、小さな雲がちぎれちぎれになって飛ぶように過ぎる、風の強そうなしかし冬らしく明るい空を眺めていた。

「こんな美しい空は、こういう風のある寒い日でなければ見られませんですね」神父がいかにも何気なさそうに口をきいた。

「本当に、こういう風のある、寒い日でなければ……」と私は鸚鵡(おうむ)がえしに返事をしながら、神父のいま何気なく言ったその言葉だけは妙に私の心にも触れてくるのを感じていた……

 一時間ばかりそうやって神父のところに居てから、私が小屋に帰って見ると、小さな小包が届いていた。ずっと前から註文してあったリルケの「鎮魂歌(レクヰエム)」が二三冊の本と一しょに、いろんな附箋(ふせん)がつけられて、方々へ廻送されながら、やっとの事でいま私の許(もと)に届いたのだった。

 夜、すっかりもう寝るばかりに支度をして置いてから、私は煖炉(だんろ)の傍で、風の音をときどき気にしながら、リルケの「レクヰエム」を読み始めた。

(因中文译文版已有出版作品,故本节目不备注中文翻译)