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翻译:朗读会干事@ノゾミオ
以下日文为部分内容,参与朗读会活动即可看到全部文档及译文。
恋は風邪と似ている。恋をするたびに藤代は思う。
いつのまにか、それははじまっている。風邪のウイルスが知らぬ間に体を冒し、気づいたときには発熱しているように。だがハルとは違った。彼女と恋に落ちた瞬間を、藤代ははっきりと覚えている。あれほど心が動く瞬間は、これからどんなに長く生きていくとしても、もう二度とないように思えた。
藤代はハルにとって、はじめての恋人となった。
その日から彼女は大好きなコーヒーが飲めなくなった。ぱたりと、突然飲めなくなった。見た目も、味も、すべて受け付けなくなってしまった。
「誰かを好きになると、好きなものをひとつ失うんですか?」
大学の裏手にある古い喫茶店で、やむなく頼んだミルクティを飲みながらハルは訊ねる。落ち着いた内装の喫茶店には、不似合いなグラムロックが鳴っている。
「まさか」
笑いながら、藤代は遠慮なくコーヒーを飲む。鮮やかな紺色をしたコーヒーカップ。デンマーク製のアンティークだと店主に教えてもらった。
「人と話すことができる黒猫が、メス猫に恋をしたときから言葉をしゃべれなくなるというシーンがありましたよね? 昔の映画で」
「あったね。アニメ映画だ」
「小さい頃観て、ものすごくショックを受けたんです」
「でも、好きになれるものの総量があらかじめ決まっている人は、無限に好きなものが増えていく人より幸せかもしれない」